できるだけいろいろなことを書く

できるだけまじめなことと、くだらないことを書きます。ファシリテーションやグラフィックレコーディングと関係あることかもしれないし、関係ないことかもしれません。(当ブログにはアフィリエイト広告を利用しています)

Neulandの細いペンについてまとめてみた

前置き

Twitterを見ていたら『漫勉』惣領冬実さん回の反響で「ミリペン」がトレンド入りしていたので、ふとNeulandのミリペンのことを思い出しました。

onyourmarkers.com

ドイツのワークショップ用品ショップ・Neuland(ノイラント)の話はメインブログ「ファシリテーション文具案内」でときどきしていますが、2020年新製品の「FineOne Sketch」はあんまりファシリテーション目的ではないなと思ったのでこちらに書きます。これは字幅0.5mmの極細ペンで、スケッチノート向けと位置づけられています。スケッチノートがファシリテーションでない、と言い切ってしまうと語弊がありますが、場に対する影響はごく限定的であると思っているので、たまに言及するもののいちおうスケッチノート関係はメインブログのスコープ外にしています。

もう一点、あんまり説明書くのも長くなるので背景などの説明は不親切です。Neulandのことをある程度知っている人向けの記事です。Twitterに連ツイするのもどうかな、と思ってブログにしました。

本題・細いペンをまとめてみた

f:id:nummy:20201211164616j:plain 以前からNeulandがスケッチノート向けとして販売していた「FineOne」という細字ペンシリーズが今年リニューアルされました。今はオンラインショップに新旧製品が入り乱れてよくわからなくなっているので、表にまとめてみました。ただのオタクの息抜きです。

global.neuland.com

旧製品はとにかくややこしかった

ほとんどの製品を持ってはいますが、もうややこしくてそれぞれの説明をテキストで書きたくない。要はBigOneなどと同じインクを詰め替えて使えるペン(ペン先形状さまざま)と、ステッドラーのピグメントライナーにNeulandのロゴが入った製品とがあった、ということです。たしかに、ステッドラーのピグメントライナーは(だいたい世界中どこでも)普通の文具店で買えるのでNeulandが在庫を持つ理由はあまりないですね。

私は細いOutlinerをわりと重宝していましたが、こちらも在庫限りとなります。重宝していた、といっても他の製品じゃだめか? というとそうでもなかったかな……。Round芯は1.0でちょっと太いと思っていたし、それこそピグメントライナーの1.0とか1.2、斧型なんかで代替可能。筆ペンもけっこう日本メーカーの製品が海外で売られてるのでこちらも優位性はあまりないかも(bikablo考案者のMartin Haussmannでさえトンボの「筆之助」使ってた)。そもそも多くの筆ペンのインクは「水性顔料系・耐水性」なのでOutlinerインクの特徴そのものなのです。

新製品はミリペンと筆ペンに集約

新製品の「FineOne Sketch」(ミリペンタイプ)のカラーペンは字幅を0.5mmに統一しています。インクを詰めていない空軸(empty)は0.1、0.3、0.5、0.7が用意されているので、好きな字幅に好きな色を詰めればよいという仕組みです。ミリペンタイプは14色、筆ペンタイプは16色(カラーセットは少し異なります)だけで、後は好きなインク詰めてね! という仕組み。Neulandの一般的なインク(RefillOne)は混色可能ですし、いろいろお好みでどうぞというやり方を徹底してきた感があります。

顔料系(耐水性)黒インクはなくなった

「FineOne Sketch」は黒インクのみ字幅0.1、0.3、0.5、0.7が売られています。主線には黒、という思想とは思いますが、染料系のRefillOne #100なんですよねえ。今回のリニューアルで、Neulandの細字ペンから顔料系の黒は消えました。「FineOne Sketchの軸にOutlinerインクを入れていいか」とNeulandに聞いてみたところ、「詰まるからダメ」との回答も得ています。当たり前ですね。主線がにじむの絶対イヤ派(私)は、他の製品を探しましょう。ピグメントライナーでもピグマでもコピックマルチライナーでも、日本では優秀なミリペンが比較的手軽に買えます。

要はコストと環境配慮からの「選択と集中」(なのかな)

多品種の在庫を持つコストを考えると、インクと空軸を提供してユーザーが好きな色を詰めてもらったほうが絶対いいですよね。もう一点、ピグメントライナーのように詰め替えできない製品は(中身が基準を満たしていたとしても)環境配慮のポイントが下がるのかもしれませんね。ドイツの会社だし、環境基準がだいぶ経営に影響を与えるんじゃないかなと勝手に想像しています。そこで「選択と集中」。

BigOneシリーズと同じ色が使える以外に優位性はあるか?

空軸の思想は呉竹の「からっぽペン」と基本同じです。「からっぽペン」は0.4と筆ペンがあるので、「FineOne Sketch」の字幅にも好きな色を詰めて使えるのは利点でしょうか。うーん、こじつけかな。*1

呉竹 ペン容器 からっぽペン ほそ芯 5本セット ECF160-451

呉竹 ペン容器 からっぽペン ほそ芯 5本セット ECF160-451

  • 発売日: 2020/08/31
  • メディア: オフィス用品

個人的には、今のFineOne(筆ペンタイプ)はグラフィックレコーディングの計画をするときに手元のノートにBigOneと同じ色でさっと書けるのがよいところなのですが、スケッチノートだけ描く人なら他の選択肢がたくさんありますね。

極細天国・日本在住者は選択肢が多い(多すぎる)

結論としては、三菱鉛筆の「EMOTT」が安価で簡単に手に入る日本では、いくら色がたくさん使えるといってもミリペンタイプのFineOne Sketchを買う意味ないんじゃないの? と思ったりもする……。EMOTT、あんなにきれいな色で細くて丈夫で「水性顔料インク・耐水性」ですからね。Neulandのインクみたいに光でもりもり退色しないよ……。

三菱鉛筆 水性ペン EMOTT エモット 10色 No.1 PEMSY10C.NO1

三菱鉛筆 水性ペン EMOTT エモット 10色 No.1 PEMSY10C.NO1

  • 発売日: 2019/04/19
  • メディア: オフィス用品

その他も、日本製品はとにかく細字のペンが充実しています。日本に住んでいる限り、わざわざFineOne Sketchをがっつり揃える意味はあまりなさそうだなあと思います。ふだんは「日本のメーカーは極細ペンばっかり出してる! 日本人は米粒に日記やスケジュール書くんか!」など意味不明にキレている私ですが、やっぱり日本の極細はすごいよ(というわけでFineOne Sketchは305と500だけ買ってみました)。

*1:からっぽペンに万年筆インクを詰めているブログ等を見かけますが、(Neulandも)専用のインク以外は非推奨なので、その点は留意してください。インク沼の基本は「自己責任」です!